スタッフブログ

2022/04/18 23:56


<作り手は霧島の自然>

「良いモノには、空と水と土。これが大事だ」


前職の仕事柄、逸品と称されるモノづくりをされる皆さんにお話を伺う機会が多くありました。

不思議なことに、それぞれの分野は異なれど、どの生産者の方も<三要素の重要性>をおっしゃっていたように思います。

 

祖父の代からお取り組みを続けさせていただく、鹿児島県霧島市の西製茶工場。

 

先人の教えにならい、ここで彼らの三要素を紹介します。

 

まずは「空」。これは気候・天候と同義です。

霧島の夏は暑く、冬は寒い。そして、朝晩の寒暖差は激しい。

農作業をする人には厳しい気候ですが、茶葉には最適な環境です。

 

霧島連山に囲まれた茶畑


もう一つの大事なポイント。

それは霧島の地名の由来でもある「霧」。

 

茶の葉は日光に当たって紫外線を浴びると、渋みの成分である「カテキン」が多くなります。反対に、紫外線をあまり浴びないと、旨味と甘み成分の「テアニン」が多くなります。

 

そして「霧」は、お茶の木を紫外線から守る、天然のヴェール。

そのため“霧はお茶の大好物”と言われ、霧のある場所では旨味のつまったお茶ができるのです。

 


実際に霧を食べる茶畑


次に「水」です。


標高1000メートルを超す活火山が幾つも連なる霧島連峰。

長い歳月をかけ、その雪解け水は地下深くに浸透し、湧き水となります。

西製茶工場では、この天然水を汲み上げ、茶畑に散水します。

 

この水質を調査する専門家によれば、平安時代に霧島連山に降り積もった雪や雨水が時を経て、地下水として湧き出ているとのこと。

1,000年以上も前の雪解け水は、地層の粒子の大きさによってそのスピードは異なるものの、たった1mm進むのに1日から数年かかることも。

 

まさに時代を超えた自然の恵み。

新芽は毎年、この恵みを目一杯に浴びて生まれ変わります。

 


茶畑の傍らには湧き水の溜池が設置されています


最後に「土」。

 

「空と水は変えられないが、土は人の努力で変えられる」

 

名生産者のなかには、こうお話しされる方も多いです。

 

西製茶工場の「土」づくりも一目瞭然。

鶏糞、米ぬか、その他自然肥料を撹拌し続けること、最低でも3年間。

長い歳月をかけ、天然有機肥料を自分たちの手で作りあげます。

 


有機肥料の置き場です

1年目、2年目、3年目と色が異なります



20年以上も前から有機栽培に取り組んできた技術です

自然肥料のため嫌な臭いはありません


モノづくりに求められる「空・水・土」の三要素を兼ね備えた国内最高レベルの茶畑。

 

その中でも、最も等級の高い茶畑を選び、かつその年の一番はじめの新芽だけを丁寧に手摘みした新茶の最高傑作。

 

名生産者の方にもお薦めできる自信作が今年も完成しました。

 


茶畑は、この時期だけの新芽色



丁寧に手摘みされた茶葉を少しずつ集めます


<新芽の香りと味わい>

<霧島ヌーヴォー>の最大の特徴は、何と言っても香り。

 

茶葉を急須へ入れる前、まずは開封した袋の中で、茶葉そのものの青々しく、甘い香りをお楽しみいただきたいです。

 

そして、お飲みいただく瞬間に鼻に抜ける爽やかな香気。

その飲み口は、すっきりとした自然由来の旨味を確かに感じながらも、後味には柔らかい渋みとともに、やはり最後まで新茶が備える青い香りの余韻が残ります。

 


細く柔らかい形状ながら

その色・艶から茶葉に備えられた力を感じます



意図された綺麗な水色ではなく

自然由来の新芽色が湯呑のなかで再現されます


新茶には旨味やコクが足りない。

そんな印象をもつお客様もいらっしゃいます。

 

たしかに「早さ」を売りにした新茶にはその傾向もあります。

 

良い悪いではありません。

初物には、それ相応の良さがあります。

 

しかし本商品は「早さ」が売りではありません。

こだわったのは「新芽の魅力を最大限に引き出す」こと。

 

そのために日々、茶畑の様子を直接確認し、摘採のタイミングを定める。

そして、そのフレッシュさを可能なかぎり茶葉に閉じ込めるため、手摘みしてすぐに最終加工をおこなう。

 

とにかく「新茶らしさ」をお届けしたい。

本商品は、生産者さんと一緒にその想いをこめて準備をしてきました。

 


摘採日が最終的に決まったのは前日です

周囲の農家さんも一緒に手摘みをおこないます



私自身も手摘みに参加します

柔らかい新芽だけを集めていきます


<世代を超えるモノづくり>

「有機栽培は、続けることができる農業なんです」

 

西製茶工場の三代目 西利美氏の言葉です。

 

最近、「SDGs」や「Circular Economy」という言葉をよく耳にします。

その対象とする分野ごとに、それぞれの正解はあるのだと思います。

 

それでは、茶畑にとっての答えは何なのか?

 

地球にも、人にもやさしい農業。

だから自然の循環を促すように、自然由来の肥料と水を使います。

 

20数年前、まだ流行りの言葉が出始める前、西製茶工場が出した答えです。

 

現在、西製茶工場の茶葉は市場には出回りません。

全ての茶葉は国内外から増え続ける直接注文で完売してしまうためです。

これは当時、彼らが出した答えの評価といえます。

 

日本茶という文化を世代を超えて引き継ぐ。

この命題のなかで、私たちの信じる「新芽の香りと味わい」を一度お試しいただけますと幸いです。

 

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