スタッフブログ

2022/03/25 08:44

〈作り手〉

普通蒸し煎茶「はんだ誉(ほまれ)」の主原料は、鹿児島県曽於市(そおし)の末吉製茶工房から仕入れた茶葉。

 

そして、末吉製茶工房は、イギリス・フランス・ベルギーをはじめとした海外コンクールで高い評価を得る生産家さんです。

 


末吉製茶工房代表 又木健文氏(茶農家三代目)



国内外のコンクールで連続受賞!


受賞歴の一例をあげると、Great Taste Awards(グレートテイストアワード)は、イギリスの高級食品小売組合(Guild of Fine Food)が主催する「食のオスカー」とも呼ばれる国際コンテストです。

 

ここでの審査基準は、世界共通の評価軸である「味」。

2021年は世界各国から14,113点が出品され、約6割の商品には星が与えられず、三つ星を獲得できるのは全体の1.5%という狭き門です。

 

そのなかで末吉製茶工房の「さえみどり」は見事、最高位の三ツ星を獲得。

 

当店とお付き合いのある生産者の方が評価されるのは大変嬉しいものです。

 

しかし正直なところ、一緒に仕事をさせていただく立場で感じる末吉製茶工房の最大の魅力は、全く別のところに。

 

それは、何と言っても「お茶作りに真摯に向き合う姿勢」。

 


父の康文氏より世代を超えて引き継がれる茶作り


茶農家の三代目に生まれた又木健文氏。

大学卒業後には公認会計士として監査法人事務所に勤務します。

 

充実した社会人生活を送る一方で、

 

「考えてみたら、父親と一緒にお茶を作れる時間はそんなに長くない。ふとそう思ったんですよね」

そして一大決心し、茶農家へ転身します。

5年前のことです。

 

そこから親子でお茶作りに励む日々がスタート。

 

就農3年目の2019年には、初挑戦したパリとロンドンの食品コンテストでダブル受賞します。

 

300年続けられる茶農家になりたい」

「本当に美味しいお茶を作りたい」

「そのお茶を自分の手でもお客様へ届けたい」


有言実行だけではない。

近くでお付き合いするからこそ見える、どこまでも真摯にお茶作りに向き合う生産家の姿勢。

 

そんな健文氏より茶葉を仕入れ、その茶葉を主原料にして当店にて最終の商品づくりをおこない、お客様へお届けする。

 

健文氏とは、お茶屋冥利に尽きる仕事をご一緒させていただいています。

 


改造したキッチンカーを健文氏が自ら運転し、鹿児島県内外へお茶をお届けする取り組みも


〈商品紹介〉

末吉製茶工房の茶葉を主原料にした「はんだ誉(ほまれ)」。

その特徴を一言でいえば、究極のバランス型。

 

煎茶の評価軸は、香り・旨味・渋み・形・水色です。

本商品は、その全てのポイントを押さえます。

 

日本茶が備える青い香りと適度な蒸し工程による自然由来の爽やかな旨味。

その後味には、良質な茶葉から生まれる柔らかい渋みを残します。

 

また、日常的にお茶を楽しんでいただくことはもちろん、来客時やご友人との大切なお茶の時間にも、日本茶専門店として自信をもってお薦めできる商品です。

 


ケの日、ハレの日のどちらでも活躍する煎茶


先日、普段はスーパーでお茶を購入されているお客様がご来店され、本商品をお買い上げいただきました。

 

それから数日後、ご購入されたお客様が再来店され、

 

「びっくりするほど美味しかった。今日は、もう少しだけ良いお茶も一緒に買っていきたいけど、どれが良いですか」

という大変嬉しいお声がけをいただきました。

 

その意味では、「日本茶専門店のお茶を楽しんでみたい」というお客様へ、まずはその入り口の商品としてもお薦めです。

 


深蒸しにはせず、日本茶本来の香りを大切にし、当店にて京都・宇治で最終仕上げ


〈モノづくり〉

末吉製茶工房が畑をかまえる都城地域。

ここでのお茶作りが始まったのは江戸時代です。

 

当時、高級茶の名産地は京都・宇治。

その宇治と地理的条件、気候条件が非常に似通っていることに都城島津藩士の池田貞記が目をつけ、宇治製法を学び、都城で広めたことが始まりと言われています。

 

曽於市は歴史的・地理的にも高品質な茶葉を栽培するのに適した土地です。これは間違いありません。

 

その一方で、特出したブランド産地・有名産地でないこともまた事実。

また、末吉製茶工房の栽培面積は、全国の平均的な生産者と比較しても小さく、効率性・生産性の観点から恵まれた茶園とはいえません。

 

しかし、ここでは自分たちの目が届く範囲だからこそ可能な丁寧なお茶づくりをおこなっています。

 


たとえ生産量が限られても納得のいくお茶づくりを目指す


栽培方法は、世界農業遺産としても認められた茶草場(ちゃぐさば)農法と同様の農法を採用。

 

茶草場農法とは、静岡県で主に採用されており、茶園の畝間にススキやササを主とする刈敷きを行う伝統的技術です。

 


(かや)を刈敷きした茶畑。自然の力によって畑が豊かさを取り戻します


大変な手間暇のかかる農法ですが、もちろん利点があります。

 

・ススキ等が分解され有機質堆肥となり、茶葉本来の香り・旨味が備わる

・土中微生物の繁殖を助けつつ、土壌肥料の流亡と過剰施肥も防ぐ

・夏は保湿、冬は保温効果によって畑と茶樹を守る

ここでの大事なポイントは人の手で維持管理される、ということ。

 

誤解を恐れずにいえば、農法自体は決して珍しいものではありません。

 

まずは、生産者の顔。

だからこそ、お茶作りに活かすことのできる伝統技術。大切なのは、この順番です。

 

先代から引き継がれる当店のDNAは、茶畑に自ら足を運ぶこと。

そして、「どんな生産者の方が、どんな想いでお茶作りをおこなっているのか」を学ぶこと。それをお客様へ商品とともにお伝えすること。

 

茶葉の品質はもちろん、当店が自信をもってお薦めする生産家 末吉製茶工房。

彼らが大切に育てた茶葉を主原料とし、当店にて京都・宇治にて最終仕上げをおこなった普通蒸し煎茶「はんだ誉(ほまれ)」。

 

それぞれの技術を掛けあわせて作り上げた両者の合作を、皆様にも一度お試しいただけますと幸いです。

 


整理整頓された清潔な工場。ここでも生産者の想いが伝わります


<お届けのご案内>

・単品(100g)でお買い上げのお客様はこちらです


・当店お薦めのお茶を少量(30g)ずつ、お楽しみいただけます

・4月お届けの回は「長谷部さん家のさわやか紅茶 自家製みかん入り」をお届けします