2022/03/05 18:05
〈作り手との出会い〉
「釜炒り茶 ごえもん」の〈作り手〉をお伝えするため、日本茶の仕入れ方法について。
一般的に、世の中のお茶屋さんが商品を調達する方法は以下です。
①自分でお茶を作る(生産家さんによる産直販売)
②産地から茶葉を直接買う(洋服屋さんで言うと、生地屋さんから生地を直接仕入れて自分で裁縫し、生地の切れ端は自分で工夫して使い切る方法)
③茶市場にて入札して落札する(豊洲市場・大田市場などと同様/競りによって仕入れる方法)
④製茶問屋から仕入れる(最終製品やその一歩手前の段階の商品を仕入れて販売する方法)
上記の選択肢は、他の商品(農産品・水産品・アパレル・工芸品など)でも同様です。
ただし「日本茶ならではの仕入方法」として、上記以外で重要な調達ルートが一つだけあります。
それは、
⑤毎年おこなわれる「全国茶品評会出品茶」の入札販売会で落札する
という調達方法です。
そして、この調達方法により、当店は「釜炒り茶 ごえもん」の〈作り手〉と出会います。
全国茶品評会とは、「各年の全国No.1(=最高品質)の茶葉を各種別ごとに審査・決定」する場です。
全国茶品評会に出品された茶葉は「出品茶」と呼ばれ、審査会の後、全国の茶業者が参加する入札方式によって販売されます。
※ようは一番高い値段をつけた茶業者が購入できます
※最高品質を目指して製造された茶葉が所狭しと並びます
※2021年11月28日「第75回全国茶品評会出品茶入札販売会」
当店で販売する日本茶の大半は、茶市場や製茶問屋を経由せず、全国の提携茶園との直接取引により商品を調達します。
その理由はシンプルに「良品を適価にてお客様へお届けしたい」と考えるからです。
しかし、釜炒り茶の生産量は、国内の緑茶生産量の0.02%と非常に少なく、高い品質の茶葉を単一の生産者のみで維持・安定させることは難しいです。
そのため、毎年、全国茶品評会の入札販売会にて当店が落札した良質な釜炒り茶のみを自社で最終加工し、お客様へお届けしています。
その意味で「釜炒り茶 ごえもん」の〈作り手〉は、全国各県から最高品質を目指して集まった限定生産者、といえます。
※全国茶品評会の歴史は古く、当店の創業年度(1947年)と同年にスタート
※当店も過去には最多額(合計)を落札したことも
※写真中央は、創業者の繁田弘蔵(祖父)
〈商品について〉
「釜炒り茶 ごえもん」の特徴は、何と言っても、濁りのない澄んだ透明感のある水色(うすい黄金色)、そして茶葉を炒ることで生まれる釜香(かか)と呼ばれる「独特の香ばしさ」にあります。
濃厚で力強い味わいではありません。
すっきりとした香りのためか、ほのかな甘みを確かに感じつつ、爽やかな渋みをあわせもちます。
また、その口当たりは軽く、それは最大の特徴である「香り」を決して邪魔しません。
当店では「お茶はごえもんしか飲まない」というコアなファンが多く、なかには「飲むだけでなく、ごえもんをそのままパリパリ食べるのが大好き」というお客様も。
最近では、日本茶へ先入観をもたない、とくに年齢層の若いお客様から反応がよく、朝のコーヒーの代わりに飲むようになった、というお客様の声もいただいています。
〈モノづくりについて〉
釜炒り茶を製造する際の最大の特徴は、読んで字のごとく「釜で茶葉を炒る」という工程です。
※収穫された生葉を「釜」で炒るから「釜炒り茶」です
「世界の茶」を分類する方法はいくつかあります。
最もポピュラーなのは「生葉の発酵(酸化)程度」で分類する方法です。
①不発酵茶(日本茶):収穫後の生葉にすぐに熱を加え、茶葉の発酵(酸化)を止める
※だから、日本茶の茶葉は緑色のままです
②発酵茶(紅茶):収穫後の生葉を放置し、茶葉の発酵(酸化)を最大限まで進める
③半発酵茶(烏龍茶):発酵を最大限まで進めるのではなく、ある程度発酵が進んだ段階で意図的に発酵をとめる
更に、不発酵茶(日本茶)の製造工程で熱を加える方法は「蒸す」と「炒る」に分けられ、後者を「釜炒り茶」と呼びます。
※釜で炒るため、茶葉の外観は丸みのある独特の形状になります
先述したように、日本国内での釜炒り茶の生産量は緑茶生産量の0.02%と希少ですが、実は世界のお茶の主流は「釜炒り茶」です。
なんと世界中で飲まれている緑茶のうち約9割以上が、中国を中心に製造される「釜炒り茶」で、私たちにとって一般的な「蒸製緑茶」はむしろ少数派です。
「世界の主流派は日本の超少数派」という市場状況。
それでも伝統製法にこだわり、国内No.1の品質を目指す生産者。その想いの一端を「釜炒り茶 ごえもん」の香りとともに感じていただけますと幸いです。