スタッフブログ

2021/08/22 23:12

今週、渋沢栄一が帰国しましたね。往復の船旅は緊張感を伴うものだったことでしょう。
彼らがパリ万博のために海を渡った1867年は、日本からパリまで船で55日の長旅だったそうです。現在は飛行機で約12時間の距離ですが、昨今海を越えるのは、違う意味で遠くなったと感じます。実際、私(三代目の妹)がヨーロッパへ入国するために要した時間は、下調べや書類の取り寄せ含めて2ヶ月近くかかりましたし、無事に上陸できるかの緊張感は入国のスタンプを押されるまで、、到着ゲートを抜けるまで続きました。

私は一昨日、ドイツに入国しました。ドイツに住む家族のもとへ行くためです。コロナの影響で1年半ぶりの再会でした。(この時間をどう捉えるかは人それぞれですが、私にとってはお茶について学びを深めることが出来た貴重な時間でした。)

カナダに留学していた時も、過去にドイツを訪れた際も、海外での日本茶の必要性をひしひしと感じました。旅先でお茶を買うと甘いお茶が出てきてがっかりした経験はないですか?MATCHAと書いてあるのにただ粉っぽいだけのお湯を絶望しながら飲み干したことは?
何を「美味しい」と感じるかは人ぞれぞれですが、日本茶を飲んだことがないお客様、美味しい日本茶を飲みたいと思っている海外在住のお客様へ、良いお茶をお届けするのがお茶屋の使命の一つであると感じました。

話は少し変わりますが、道徳銀行と呼ばれた銀行が埼玉の旧黒須村にありました。道徳銀行は通称で、黒須銀行(現 埼玉りそな銀行)が本来の名前です。黒須銀行が道徳銀行と呼ばれたのはその設立の経緯からです。庶民が働きお金が入れば貯金する習慣をつけ、生活を安定させ、それをお金が必要な人に貸して産業を盛んにする考えが元となっています。1900年に繁田家が家業の一つとして設立した黒須銀行の顧問を務めていたのが渋沢栄一でした。渋沢の主義である道徳経済合一から、名前は「道徳銀行」が良いといった話もあり、彼の書いた「道徳銀行」の書が1913年に黒須銀行に贈られています。(現在は埼玉りそな銀行の応接室に掲げられています。)

道徳とは「社会生活を営む上で、自分の良心によって、善を行い悪を行わないことである」(出典 Oxford Languages)と定義されています。
どんな場所であっても、お客様へお届けするのに恥ずかしくないものを。良いお茶をお届けすることの難しさと楽しさを実感する日々です。